難しいと思った挑戦はあっさりと出来上がりました。
展示会に向けて、いくつかの試作を企画していたのを社長が忘れてしまい、気付いたときには展示会まで3週間。
大慌てで作った試作品の中の一つに、黒染め包丁もありました。
(普通の試作には大体6~8週間くらいかかります。)
なんの苦労もなく、社長の思い描いた工程一発で、完璧な黒染め包丁が出来上がりました。
展示会での反応も上々。
すぐに商品化に取り掛かりました。
しかし!!
それから何度挑戦しても、黒色が安定しないのでした。
よく考えれば当たり前です。
ステンレスには不働態被膜と呼ばれる保護皮膜があり、だから錆びにくいのです。
錆びにくいものを錆びさせるという無理。
なぜ一回目に上手くいってしまったのか。
いつもの志津刃物であれば、何回か失敗すれば諦めます。
が、今回は諦めませんでした。
なぜなら、
展示会で得た好感触で、外国人ターゲットという下心に火がついてしまったから!!
「世の中の不幸を減らす」という使命に燃えていたから!