社長の雑記帳


 

≪黒染め包丁 「玄(げん)」開発話②≫

 

2019年 10月 7日 

 

コンセプトはシンプルです。

 

ステンレスの「黒い包丁」。これが作りたかったのです。

名前の「玄」も黒色に由来しています。奥深いという意味もあります。

 

単に包丁を黒くするだけであれば、フッ素やチタンでコーティングしたものが世の中で既に色々あります。

でも私たちが作りたかったのは、そういったものとは違う、鉄自身が作る“本当の黒“。

昔ながらの工法で作り上げられた黒打ちの和包丁のような味わいです。

 

普通、鉄は酸化する(錆びる)と赤褐色になり「赤サビ」と呼ばれますが、鉄にはもう一つ「黒サビ」と呼ばれる酸化の形があります。

黒サビは赤サビに比べて“緻密”なため、多少の防食機能があります。

鉄と鋼で作られた昔ながらの包丁は、赤サビを防ぐためにこの黒い保護皮膜をもっておりこれが独特の味わいを持っています。

私たちはステンレスに、この味わいを再現したかったのです。

 

 

 

赤サビ

水や酸素に触れて自然に発生します。

錆びると腐蝕してぼろぼろに。

黒サビ

鉄さびを還元する事によって作られます。

緻密な皮膜を形成するので、金属内部の

腐蝕を食い止める効果があります。


黒サビ加工を施した玄の刃部分
黒サビ加工を施した玄の刃部分

 

和食ブームが続く今、多くの方が、この日本らしい味わいを求めて和包丁に興味を持たれます。

 

 

ただ、鉄と鋼で作られた和包丁には、正しいメンテナンスが必要不可欠です。

 

ステンレスの包丁に慣れ親しんだ方は、このメンテナンスを知らず、あるいは頭では理解できても忙しい毎日に追われてしまい、せっかく買った高価な包丁が錆びて使えなくなってしまうという不幸がたくさん発生しています。

恐らく、販売される方は必ずこのメンテナンスをしっかりとお伝えするはずです。

 

それでも皆が、この錆びる包丁を選んでしまうのは、どうしようもなく和包丁が魅力的だからです。

この魅力をステンレスの包丁で少しでも再現できれば、世の中の不幸が減らせる。

 

 

 

高い志を持って、難しい技術に挑戦しました。

 

(訪日外国人がお土産で買ってくれないかな~という下心と共に。)



志津刃物の社員のメガネです。

 

雑記帳、見て頂きありがとうございます。

 


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